めい "傲慢と善良" 2025年8月29日

めい
めい
@meiji_chan
2025年8月29日
傲慢と善良
傲慢と善良
辻村深月
「人の嫌な部分が見える」「蓋をしてきた自分の嫌な部分を突きつけられる」系の小説が大好きなのでずっと気になっていた。「流行りすぎてるしな〜」と尻込みしていたけれど、映画化決定を知ってようやく手に取った。 いい小説は読者が「これは私の物語だ」と錯覚するらしいけれど、まさにこれは私の物語だと思ってしまった。真実は私、架も私、架の女友達も真実の母も私。人間のイヤ〜な部分がこれでもかと詰め込まれていて、何度も読む手を止めて過去を振り返ったり家族のことを考えたりした。傲慢な人間にならないように、という善良な考えこそが傲慢で、それに気づけるだけの善良さもまた傲慢さの上に成り立っている。エンドレスに私だ。 最後はキレイにまとまっていて、そこが気に入らない人もいるようだけど、これくらいキレイじゃないと「私の物語だ」と思って読む人が可哀想になる。あのラストは著者の情けなんじゃないかと思った。 「婚活ミステリ」みたいな帯がついていたことがあった気がするけれど、そのキャッチコピーつけた編集者は一度怒られた方がいいと思う。ミステリではなくない?
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved