
本屋lighthouse
@books-lighthouse
2025年8月29日

プルーストを読む生活
柿内正午
代わりに読んでもらってる、と言えるかもしれない
プルーストを読む生活は、ほかの本を読む生活と同じく、僕自身を読む生活でもあった。僕の読書に楽しむ日々は、明らかにこのお店によってますます楽しいものになったし、この日記は『『百年の孤独』を代わりに読む』を読まなければ始めようとも思わなかったかもしれない。僕にとってのゲルマン大公夫人の午後のパーティーは、fuzkueかもしれないな、とかなりこじつけのように思う。そうして読み終わった。思った通り、その場での感慨はない。祖母の死が、「私」に見出されたのは、現在における死ではなく、ふいに現在にそのまま立ち現れた過去の感覚によってだったように。プルーストにおいて感覚は、即時的な反応ではない。それは予期せぬときに、現在以上のリアリティを持つ過去として現れる。ディレイであること、その場ではなく、あとから認識し、感覚することは――きのうの出来事をこうして思い出して書いていくあいだに、読み終えてしまったんだなあという感慨がようやくやってくるように――そのまま読むことと書くことの関係の話だともいえる。
――柿内正午『プルーストを読む生活』(H.A.B)p.716-717
丹渡実夢『迂闊 in progress 『プルーストを読む生活』を読む生活』の編集作業が佳境を迎えており、何度目かの再読をしている。柿内さんが最近言っていた「迂遠」というテーマが、このときすでに立ち現れていたのかもしれないということが、なんだかやけにおもしろい。
『迂闊〜』は10月中の刊行を目指して作業中。表紙まわりもだいたい完成。Readsにも書誌情報を登録したいね٩( ᐛ )و












