ユメ "貸本屋おせん" 2025年8月8日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2025年8月8日
貸本屋おせん
貸本屋おせん
高瀬乃一
江戸の町で貸本屋を営むおせんが、行く先々で出会う本にまつわる事件を解決してゆく人情捕物帖。江戸の読本文化の豊かさに触れられるのが興味深く、物語に没頭した。 初めのうちは、本さえ関わっていれば何にでも首を突っ込むおせんの行動力に少々ヒヤヒヤしていたのだが、おせんの家族の過去が徐々に明らかになり、なぜ彼女が本に対してこれほど思い入れを抱いているのかを知ると、おせんの「本を守る」という矜恃と覚悟に深く胸を打たれた。御公儀の読本に対する弾圧が厳しかった時代、おせんは時に危険に身を晒すことにもなるのだが、本が時にひとの生きる希望になることを熟知している彼女は決して信念を譲らない。一介の本好きとして、その想いの強さが胸に沁みた。
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