ユメ "蔦屋" 2025年8月11日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2025年8月11日
蔦屋
蔦屋
谷津矢車
『貸本屋おせん』が面白かったので続けて江戸の読本文化に触れたいと思い、積読になっていたこちらを読んだ。 本書は吉原の版元として飛ぶ鳥を落とす勢いである蔦屋重三郎を、彼が買い上げた日本橋の地本問屋の主人・丸屋小兵衛の視点から描く。いちどは隠居を決意しながら重三郎に雇われることとなった小兵衛の眼差しを通すことによって、重三郎の商才の非凡さが光る。なぜ重三郎が吉原から江戸中へ打って出ようとするのか、隠された切実な想いが徐々に明らかになり、胸に沁みていった。 重三郎が吉原で得た人脈を糧に商売を広げてゆく過程に胸躍っただけに(「人の縁だけが本屋の全てかもしれません」という台詞が好きだ)、松平定信の改革によって戯作者たちが次々と弾圧されてゆく展開は辛かった。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved