amy "働くということ 「能力主義」..." 2025年8月31日

amy
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@note_1581
2025年8月31日
働くということ 「能力主義」を超えて
私は労働というものが死ぬほど嫌いだ。できることなら本を読み、映画を観て、Podcastを聴き、散歩をして、おいしいものを食べて暮らしていたい。読みたい本、観たい映画、聴きたい番組、歩きたい道、食べたいものが多すぎて、労働なんてしている暇はない。労働をしている理由はただ一つ、自分の尊厳を削られない範囲で金を得るため。それだけである。 それなのに最近「リスキリング」なんて気持ち悪い言葉をよく耳にする。自己研鑽をして市場価値の高い人間になれ、という話らしいが冗談じゃない。私は労働に自己実現を求めていないし、人生を労働に捧げるなんてまっぴらごめんだ。リスキリングなんてクソくらえ、と思っている。 そもそも、なぜ能力を磨かなければならないのか。なぜ社会にとって有用であることを証明し続けなければならないのか。そしてその「有用さ」が、自分にとってはまったく価値を感じられないのはなぜなのか――ずっと疑問に思っていた。そんな折に出会ったのがこの本だった。タイトルにある「能力主義」という言葉も、この本で初めて知った。 本書は、能力主義がいかに一面的な尺度であり、多くを見落としているかを示している。そもそも「優秀な人」とは何をもって優秀とされるのか。組織づくりの実践や能力主義からの解放の試み、さらには「働くとは何か」まで、丁寧に解きほぐし説明してくれる。また、「能力主義を批判するなら医師や弁護士はどうなのか」といった疑問にも応えている。 人は複雑で多様だ。一元的な視点で評価するのではなく、それぞれの持つ特徴を持ち寄り、組み合わせていく方向に向かえばいい。そうなれば「自分の能力を発揮したいのに機会に恵まれない」とか「もっと気持ちよく働きたい」と思っている人の気が、ずっと楽になるのではないか。私はそちらのほうが断然いい。
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