ヒナタ "物語の役割" 2025年8月31日

ヒナタ
ヒナタ
@hinata625141
2025年8月31日
物語の役割
物語の役割
小川洋子(小説家)
〈言葉で一行で表現できてしまうならば、別に小説にする必要はない。ここが小説の背負っている難しい矛盾ですが、言葉に出来ないものを書いているのが小説ではないかと思うのです。一行で表現できないからこそ、人は百枚も二百枚も小説を書いてしまうのです。 ほんとうに悲しいときは言葉にできないくらい悲しいといいます。ですから、小説の中で「悲しい」と書いてしまうと、ほんとうの悲しみは描ききれない。言葉が壁になって、その先に心をはばたかせることができなくなるのです。それはほんとうに悲しいことなのです。人間が悲しいと思ったときに心の中がどうなっているのかということは、ほんとうは言葉では表現できないものです。けれども、それを物語という器を使って言葉で表現しようとして挑戦し続けているのが小説なのです。〉 ほんとうにそうだなぁと思いながら読んだ。今はもう手元にない『博士の愛した数式』を読み返したくなる。ポール・オースターの『ナショナル『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』も読んでみたい。
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