
しまうま
@shimaumova
2025年8月31日

ババヤガの夜
王谷晶
読み終わった
面白かった。
どんだけヴァイオレントなんだろうと恐る恐る読み始めたけど、正直、数多あるおっかないハードボイルドやノワールものに比べたら大した事なかったというか、斬新なほどの暴力性は(有り難い事に)なかった。
確かに主人公の依子は凄まじい腕っぷしの強さを誇り、暴力を振るえると血が騒いで喜ぶ人間だけど、彼女には嗜虐性がないので人を無意味にいたぶらない。誰かをなぶりたいが為の暴力ではなく、自分が力を揮いたいがための暴力。そこが、本作における暴力描写がスプラッタやゴアとは一線を画し、尚且つ多くの読者をして依子に好感を持たせる要因だろう。
乱暴者と品行方正なお嬢さん・お坊ちゃんとのバディもの、それも古今東西には沢山あると思う。でも依子と尚子が二人になってからの展開は意外性に満ちていて良かった。
鬼婆。わたしたち女性が自己を解放して、好きなように生きるには、まだまだ鬼婆になるしかないのだろうか。





