
ゆい奈
@tu1_book
2025年8月31日

親愛なるキティーたちへ
小林エリカ
読み終わった
著者の小林さんは、あるとき、日本人の少年であった実父と、小学生の頃から憧れてやまないアンネの生まれた年がおなじ年であることに気づく。当時のふたりの日記を読み、照らし合わせ、現地へ向かい、かつてユダヤ人たちを虐殺したナチスドイツと日本は同盟関係にあったという歴史的事実に向き合う、そんな旅へでた。小林さんはそこで目にしたもの、感じたもの、考えたことを日記に書き記した。読者であるわたしはその3人の日記を交互に読んだ。読んで、やり場のない気持ちに襲われる。アンネだったら、どんなふうに言葉にしただろう、とおもって、アンネより長い歳月を生きている私は、今のアンネの言葉を聞けないことに何度だって悲しみ、あのときこうしていたら、あのときこうだったらと、変わらぬ歴史に何度だって怒りをおぼえる。いつかアウシュヴィッツに行かなくては。アムステルダムへも。
◾️p237から引用
「アンネだったら、
いったい生き続けるということを、どんな風に書くだろう?
アンネだったら、
いったい今のこの世界を、どんな風に書く?
ねえ、アンネだったら、
八十歳を迎えることを、年老いてゆくことを、どんな風に書く?
私は、オバサンになった、アンネの言葉を読みたかった。
私は、おばあさんになった、アンネの言葉を読みたかった。
ベッドの中で、私は、三十一歳だ。
今も私はひとり、アンネに向かってそんな風に問い続けている。
けれど、勿論、その問いの答えは返って来ない。」









