
阿久津隆
@akttkc
2025年8月4日

トピーカ・スクール
ベン・ラーナー,
川野太郎
読んでる
読書日記
ティーンエージャーのジェイコブはヘビーメタル版バートルビーで塞ぎ込みがち。
p.72
家族で『スター・ウォーズ』を観に行こうと誘うと、ジェイコブはたわごとを言う連中を見るように両親を見た。スケボーをしていないときは部屋に閉じこもり、自傷行為にのめりこんでいることを示す生傷も目立つようになった。体液の滲む擦り傷のパッチワークを見せながらキッチンのドアにあらわれた。両親に大丈夫かと、オキシドールはいるかと、お腹は空いていないかと尋ねられ、ピザを温めようかと言われると、また肩をすくめた。冷蔵庫からペプシを取って上に戻り、残された両親がキッチン台越しに顔を見合わせて瞬きをしていると、くぐもった凶暴な音楽が流れ出す(僕はこのシーンを、あらゆる郊外のキッチンで同時に起こったこととして想像した。膨大な演技が演者が無意識のうちになされ、それを演出する奇妙な力は「文化」という名―あるいは誤称―で呼ばれている。僕の作られずじまいだった映画の冒頭シーンのひとつだ)。
なんかキュンとしちゃった。大宮のマンションの部屋と、お年玉で買ったビクターのコンポ、MDとCD3枚とかが入るやつ、ボタン周辺がうっすら青く光った、ああいうやつ、それを思い出した。何かを誇示するように大きな音でナンバーガールとかボアダムスとかを聴いていたはずだ。朝からそうしていたのか、あれは朝だった、音楽がうるさいと姉に言われ、切れた僕は壁を殴って穴を開けた。朝から元気いっぱいだ。