
阿久津隆
@akttkc
2025年8月9日

トピーカ・スクール
ベン・ラーナー,
川野太郎
読んでる
読書日記
即興ディベートの元全国チャンピオンのエヴァンソンがアダムのコーチになった。「エヴァンソンは、あとでもっともらしく否定できる無礼を働き、あえて困惑してみせ、優位に立つ天才だった」。
p.184,185
校舎の窓の外に見える街灯の周りでは小雪が舞っている。ひとり、濃い色のジーンズを腰ばきしているほうが、奇妙な液体を飲んでいる。もうひとりはカーキ色のズボンを腰の高い位置で穿いていて、いわゆる「常識的な銃規制法」の危険な先行きについて説明しているが、その数年後にはコロンバイン事件が起こる。歴史が再び進みはじめたとき、ふたりのうち片方は、カンザス始まって以来もっとも右寄りの知事にとって不可欠な計画立案者(アーキテクト)となり、社会福祉事業と教育事業の抜本的な予算削減を押し進め、芸術分野への助成金をすべて終わらせ、医療保険制度を民営化し、アメリカ史においてもっとも悲惨な減税のひとつを実施し、トランプ政権の重要な雛形となるだろう。
エヴァンソンそうなっちゃうか〜と昏い気持ち。トランプの名がまた出てきた。
そのあとアダムは寝たきりの老人がいる病室にいる。水に浸した綿棒で唇を湿らせる。
p.188
アダムの脳裏に、常軌を逸したイメージが立て続けにひらめいた。この部屋で、クラウスが意識を失っているそばでアンバーとセックスする。シーツとカバーを遠慮なく剥ぎ取り、クラウスの身体をしげしげと見る。眠っているその男を枕で窒息させる。彼の唇にたっぷりキスをする。クラウスの死体をカムリにあるショットガンの上に寄りかからせて支柱にし、生きているように見せかける。
とても共感できる場面でした。