ナムルネコ "成瀬は天下を取りにいく" 2025年8月31日

成瀬は天下を取りにいく
滋賀県色、正確には膳所カラー満載の1冊で自分が滋賀県出身ということをこれ程感謝したことはないと思わせてくれる楽しい作品でした。 成瀬は常に自分にまっすぐで、かと言って周りを意識的に置き去りにしたりと言うことはなく。それが読み進めるたびに「羨ましいな」「こうありたいな」という羨望と「このあとは何をしてくれるんだ」とワクワクする気持ちになるのでスルスルと読めてしまう。 あっという間に時間が過ぎてしまうので私の読書の好きなところ、「時間泥棒」なところを久々に心地よく体感できた。タイムワープしたかの様に時計の針が進んでいて本を読み終えたときには唖然としたものだ。明日も仕事があるのに。でもぜんぜん苦じゃない。なんだこれ。コロナ禍の際に、生きる活力のためにエンタメがあるんだよって感じさせられた気持ちを思い返させるのが本作とリンクしていてまた心地いい。 成瀬を取り囲む人物はそれぞれが際立って特徴的ではないのだけれど、それが現実の世界にもいそうな人物で。見る人によって成瀬の見え方は違うし語り口調とその印象を述べる文章でより成瀬が立体的に見えて魅力が増すという全体の構造も美しく天下を取りに行くのも納得の1冊。 島崎ちゃんは成瀬に好感を持った見方、大貫さんは嫌った見方、西浦くんはより成瀬の魅力を深堀してくれて、読者がみんな成瀬の虜になるキッカケを作ってくれるし。 何より、ミシガンに乗りたくなる。今度帰省したときには乗りに行こう。
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