
CandidE
@araxia
2025年8月30日

ソクラテスの弁明
プラトン,
納富信留
読み終わった
納富先生の解説がてんこ盛りで、哲学を志すなら一家に一冊は必須だな、素晴らしいな、と思った。こんな親切設計の本が学生時代にあったら、人生が違ったかもしれない。特に、プラトン対話篇のグループ分けやその詳細な解説を若い時分に知りたかった。古代ギリシャ哲学の基礎というレンズでもって、さまざまな事象を読み解ける。それって素敵でしょう? 人生のセンス爆上がりでしょう? うほほーい。
ちなみに目次は、
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目次
・訳者まえがき──『ソクラテスの弁明』を読む前に
・ソクラテスの弁明
・解説 納富信留
・プラトン対話篇を読むために
・年譜
・訳者あとがき
・重要人物および事項一覧
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となっている。ねっ、初読者も安心のやさしい心配りでしょう?
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『ソクラテスの生と死は、今でも強烈な個性をもって私たちに迫ってくる。しかし、彼は特別な人間ではない。ただ、真に人間であった。彼が示したのは、「知を愛し求める」あり方、つまり哲学者であることが、人間として生きることだ、ということであった。私たち一人ひとりも、そんなソクラテスの言葉を聞きながら──プラトンが書き記した言葉を読みながら──人間として生きることを、学んでいくのであろう』ーー「訳者あとがき」より
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うーん、人間として生きることを学ぶ……あのー、ZAZEN BOYS というバンドに『八方美人』という曲があって、そのサビが「夢の中で cry しょうがない だって人間じゃない」という歌詞なんだけれども、「♪だって人間じゃな〜い」このフレーズが好きで、というか、とても心に沁みて、人間じゃな〜い私→でも実際は人間の私→でもやっぱり人間じゃな〜い私、というループにはまってしまって、「人間として生きる」あるいは「人間として生きよう」まで辿り着けないのが実際のところなんだよね(笑) 早く人間になりたい!
さて、人生四度目の『ソクラテスの弁明』。難しいなー、と思う。やはりソクラテスは弁論に長け、セルフプロデュースも上手い。霊性(ダイモーン)の声、というか不知の知フェチは狂気じみていて、説得は不可。虻としてウザいことこの上ない。で、その虻は叩き潰したところで人や街に大した害はないだろうし、追放で済ませる選択肢もあったとされる。それなのにソクラテスが、ちょっとめんどうくさい性分だから死刑になって、毒杯をあおって、みんながショックを受けちゃった、と。
知を愛し求めるあまり、ソクラテスは周囲をないがしろにしたのかもしれない。でも、それが西洋哲学におけるファーストインパクトになった、と。難しいなー、人間として生きるって。より善く生きるならなおのこと。




