
ちーさん。
@dokushumi12
2025年9月1日

ライオンのおやつ
小川糸
読み終わった
初読み作家さん。
オススメされることが多かったからこれはそろそろ読んだ方がいいのでは、と見えない何かに背中を押されて。
ステージ4の癌になり、ホスピス「ライオンの家」で最期の時を待つ雫。
終始瀬戸内の海のように穏やかで柔らかい時が流れながらも着実に悪くなっていく身体。
そんな痛みを和らげるようにマドンナが与えてくれる優しさと、狩野姉妹の作るご飯の描写がとても良い。フルーツ粥がね、とても美味しそうなの。
タヒチくんとのデートのシーンも。
おやつを通してその人を知って、そのお菓子の先に過去を見る瞳が優しい。
マスターが亡くなった時の失った体温に触れたシーンが、亡き祖父と病室で交わした握手の記憶と重なって涙が出る。
ゆらゆら揺れるように現実と夢の狭間が曖昧になっていくみたいに、ストンと私もいつか最期を迎えられたらきっと幸せなんだろう。

