
福藻
@fuku-fuku
2025年8月31日

湖まで
大崎清夏
話した
おととい、昨日と朗読を聴き、大崎さんの声を含んだままの体で、朝から湖まで歩いた。パートナーも誘った。湖畔で暮らしはじめてから、そろそろ半年になる。余白を求めてこの町に来たはずなのに、今、私たちはせき立てられるように生活している。この状態から抜け出せない苛立ちからすれ違いが続いていたけれど、落としどころを見つける気力もなかった。だからこの日、並んで湖を眺めながら「やっぱりこの町に来てよかった」と言い合えたことは希望だった。
散歩から戻って、あたたかいミロを飲みながら話をした。「昨日の庭文庫で、“心の中の湖”って話があったよね。僕にとっては、それって山だと思う」生まれ育った山が、心の中にあるのがわかったと言う。それを見つけられてよかった。私には私の湖があるし、この人にはこの人の山があると思えたら大丈夫な気がしてきた。




