湖まで

146件の記録
Yamada Keisuke@afro1082025年12月2日読み終わった著者の名前をいろんな場面で拝見するものの、馴染みのない詩ということもあり実際の作品を読んだことがなかった中で、palm booksから小説がリリースされたということで読んだ。連作小説集で、つながりは緩やかにありつつ、それぞれ後味が異なっていて楽しく読んだ。 最初の短編は少し不思議なトーンで、目の前で起こる具体的な出来事と心象風景の重なりが独特の世界として立ち上がる。その意外性に驚かされたが、続く短編は一転して地に足のついたリアリティがあり、詩人である著者の「つかみ」としての配置なのかもしれない。 「別れと自立」が一つのテーマとして映った。誰かと生きていても、ふとしたきっかけで一人になる可能性はいつも身近にある。しかし、ただちに孤独が訪れるわけではなく、ゆるりとした連帯、それは既存の「家族」ではない、もっと広い概念で誰かと生きることについて書かれている。 私が特に好きだった短編は「次の足を出すところ」。五月の自然を捉えた冒頭の描写に心を掴まれた。状況説明ではなく、余白に満ちた情景描写こそ小説の醍醐味であり、久々に小説を読むことも相まって癒やされた。悲劇的な出来事を扱いつつも、それ以上に「足を踏み出す」という動作のアナロジーが強く胸を打った。でこぼこの地面を歩くとき、転ばずに前へ進むための一歩。車を運転するときにアクセルを踏み出す行為。それらが物語の冒頭と終わりで響き合い、美しい円環構造となっていた。 また、自立することは移動することを意味し、どの短編でも歩いている場面が多い。等高線が印象的なブックカバーは「移動」が本著の象徴であることを端的に表現した素晴らしいブックデザインだ。本著では詩歌、日記という著者の武器が小説の中へフィードバックされていて、著者の見本市のようでもあった。 「眼鏡のバレリーナのために」を読んだとき、どこかで見覚えがあると感じたが、既刊『palmstories あなた』に収録されていた短編の再録だった。前回はアンソロジーの一編として縦の比較ができる読み方だったが、今回は同じ主人公の周辺に焦点を当てた横展開で、小説の自由さとタイムレス性を楽しめた。 感触を大切にしている描写が印象的だった。陶器やギターといった曲線に人間がフィットする、何ともいえない運命的な瞬間が表現されている。確かに陶器やギターは見た目も大事だが、日々使うものだからこそ、手触りこそが大事で、「人生の手触り」がテーマの一つだとも感じられ、文字通りしっくりきた。AIなど実態のない価値がもてはやされる今、物体として存在することの意味を柔らかく表現してくれていた。次は日記を読んでみたい。
ふるえ@furu_furu2025年9月1日読み終わった読めてよかったと思える本と出会えることが、人生にどれだけあるのだろう。と言うと大袈裟かもしれないけれど、読めてよかった。 作中の中のある章で泣きそうになって、それは内容もそうなのだけど、ちゃんとそっちのことも書いてくれるんだという安心というか、そこもちゃんと書くのがすごいなという感動もあった。 読み終わっていろんな感情がぐにゃぐにゃとして、なかなか形にならない。それでも、すーっと体の中に流れるものがあるような気がする。 海の近くに暮らしたくなる。









福藻@fuku-fuku2025年8月31日話したおととい、昨日と朗読を聴き、大崎さんの声を含んだままの体で、朝から湖まで歩いた。パートナーも誘った。湖畔で暮らしはじめてから、そろそろ半年になる。余白を求めてこの町に来たはずなのに、今、私たちはせき立てられるように生活している。この状態から抜け出せない苛立ちからすれ違いが続いていたけれど、落としどころを見つける気力もなかった。だからこの日、並んで湖を眺めながら「やっぱりこの町に来てよかった」と言い合えたことは希望だった。 散歩から戻って、あたたかいミロを飲みながら話をした。「昨日の庭文庫で、“心の中の湖”って話があったよね。僕にとっては、それって山だと思う」生まれ育った山が、心の中にあるのがわかったと言う。それを見つけられてよかった。私には私の湖があるし、この人にはこの人の山があると思えたら大丈夫な気がしてきた。





福藻@fuku-fuku2025年8月30日岐阜・庭文庫「わたしたちの湖まで」へ。ガラス戸の向こうから漏れ入る蝉の声と大崎さんの声とが重なって、この日の朗読は体にさらさら流れ込む。同じ詩でも、聴く場所が変わると感じ方も変わるのが新鮮だった。夕暮れ前、立派なスイカをみんなでいただく。畳の上にあぐらをかいて、指や頬を甘い汁で濡らしながらじゅるじゅる食べた。ただそこにいるだけで、あの空間の一部になれたことがうれしかった。パートナーと交代で運転しながら、日が暮れていく高速道路を帰る。
福藻@fuku-fuku2025年8月29日朗読会大阪・black bird books「大崎清夏朗読会」へ。近くの居酒屋でビールを2杯流し込んだ体に、大崎さんの声がじんじん染み込む。会場には、そこに集う人たちの静かな静かな高揚が充満していた。息を吸うたびにそれを体内に取り込む感じが安心で、深呼吸を何回もした。行きたかった場所に行って、聴きたかった声を聴いて、会いたかった人たちに会えた夜。大人になったことをめいっぱい喜びたいような夜だった。

ふるえ@furu_furu2025年8月28日読んでるたゆたうように言葉を辿っていく。体の中に湖が生まれる、というところで自分に感覚が戻って、僕の中には何があるんだろうと思う。現実の感覚の中にはない、自分だけの時間と風景が生まれるというのはどのような感覚なのだろうか。



aida@9mor12025年8月13日読み終わった"言葉には賞味期限のようなものがあって、それは会話ごとに違う。同じ人と話していても、それができるだけ長く憶えておくべきやりとりなのか、その場を盛りあげて相手を笑わせるためにサッと差しだされたものなのかを、私たちはこまかくお互いに受け取って判断している。でも、双葉くんくらい気のあう人と会話していると、忘れてもいいような記憶ほど、忘れたくなくなる。" 「二〇二四年十一月三日」 この感じすごくわかる。 全体的に好きな、声にしたくなる文章。


m@kyri2025年8月2日読み終わった@ 自宅最初の短編を読んだとき、なぜかカミュの「不貞」のことを思い出した わたしたちはみんなひとりの集合体で、どれだけほかの人とかかわってもさみしくて、本当にわかりあうことはなくて、でもその時々で、常に誰かと出会い、ささやかに変化して、明日も生きていく 湖や海、森の景色がみずみずしく美しい短編たちだった



日記@nikki_tin2025年7月7日読み終わった人と人が惹かれあうとき、そこに生まれる重力が親密さだとすれば、それは発生してしまった受け入れざるおえないもの。それが友情と名がついたり、恋と名がついたりすることもあると思う。その瞬間にその重力が途端に社会と結びついてしまうこともある。そのあわい、またはそのあわいが許されなかった、はなし。だれかを大切だと認識することは、選ぶことはできない。それはその人が自分に対してなにかをしてくれたとかではなく、その人が発光する光に自分がただ照らされてしまったということ。







- 萌@macmac_03152025年6月21日読み終わった@ 胡桃堂喫茶店ことばがふんだんに使われていて、それこそ体の細胞が一気に生まれ変わるような感覚でした。濃くて澄んだ夜風のような一冊。夏至の日暮から夜にかけて、今日、いま、このひと時、一粒一粒をふつふつと浮かび上がらせてくれる素敵な読書体験でした。





- 萌@macmac_03152025年6月14日買った@ 曲線「曲線」さん、また行きたい本屋さん。雨の日に訪れたこともあって、温かくて時間がゆっくり流れる居心地の良さが忘れられません。気になる本をじっくりじっくり手に取って、書き出しの美しさが心に残ったものを購入しました。




結@yi_books2025年6月8日読み終わった独特の言葉のリズムにゆらゆら漂うような感覚で読了。 Readsで読まれた方の感想を何度か目にして気になって買った本だったけれど、こうして自分では手に取らなかったであろう本と出会えるのがSNSの楽しさだなぁと。








ryo@mybook122222025年6月8日読み終わった人とひとがめぐり逢うささやかな幸せと、目の前にいる人にも憧れのひとにも確かに存在している、その人にしかない物語を深くかみしめるような作品集、そこにいないひとの思いを携えながら、水は流れてゆくのだと




かわら@roof_kawara2025年6月2日読み終わった五感を使って書かれ、こちらもまた五感を使って読む本だった。 「めまぐるしく変化する」とよく表現される都会のほうが実は単純化された記号の集まりで、泰然として揺るがないというイメージである自然の方が毎日その姿を変え、複雑で情報量が多い、という視点がまさに都心で疲労を溜め込んでは常にうっすら別のところに行きたいな〜と思い続けている自分の日々の根底にあるものを説明してくれたみたいでスッと入ってきた。 キーウとキエフのくだりで、別の本で検閲によって消されてしまうかもしれない詩に対して「あなたの言葉よ無事でいて」と書いていたのを思い出した。検閲という暴力によって消されようとしている言葉と、侵略してきた国の言語だからという理由で退けられた言葉は立場が全く違う。作者自身そのやるせなさを感じながらキエフという言葉に思いを馳せている様が伝わってきて、言葉たちに対する態度が本当に一貫してるなあと思った。こういう方だからこんなにきれいな言葉が紡げるんだろうな。 初めてサイン本というものをゲットしたが、紙の凹凸にインクが滲んでいるかんじがとても良い。 最後のお話に販促での疲れについてチラッと書かれていたのですみません…と思いつつ、特別な本になったのでやっぱり嬉しい。

ふるえ@furu_furu2025年6月1日気になる読みたい本屋で見かけて買うか悩み、お店を2周ぐらいするほど悩んだ結果次に持ち越すことにした。月初から本を買いすぎると散財しすぎるので自制する。読みたい。
小雨@amekosame2025年5月30日買った読み終わった1話ずつ一呼吸つきながら、それでもぐいぐいと読み進んだ。登場人物の人生が少しずつ重なる、連作小説。内容ももちろん面白いけれど、表現が秀逸。特に1話目で主人公が夢の中で湖畔にいるときのやり取りは何度も読み返した。本は光だ。


onyoro@onyoro2025年5月22日読み終わった透き通った天然水みたいな本だった、美しい〜〜〜! 初夏に読めてよかったな。頬を掠めるだけ、みたいな距離がある感じが、詩のようで、風通しが良くて素敵だった。 知らないところで幾重にも織られている人生たちを、それぞれの視点で見るのがなんとも新鮮で、きっと私の周りにもこれと同じくらい、いやそれ以上の重なり合いがあるんだろうなと思った。はぁ〜〜よかった。








橋本亮二@hashi_shi2025年5月21日読み終わった文学フリマ東京40で大崎清夏さんに直接手渡していただいた。サインがとってもかわいい。連作小説集で、登場人物が場所と関係性を変えてつながっていくのは世界の広がりと思えてとても豊かだ。結びの「二〇二四年十一月三日」がまばゆい。全文書き写して、いつか自分のなかからこのような言葉が生まれ、こんな景色を見たいと強く思った。







































































































































