
なまけもの
@namake-mono
2025年9月2日

香君4 遥かな道
上橋菜穂子
読み終わった
アイシャとオリエの関係性の深まりとそれぞれの壮絶な決意や行動、異界からもたらされた作物や虫たちの謎を少しずつ解き明かしていく過程、アイシャの感覚を通して文字通り紙面から匂い立つようなあらゆる生命の営み、それら三つの軸が絡みあい織りなされた壮大な絵巻物のような物語だった。
アイシャの能力や伝承の読み解きなどから少し獣の奏者を連想したけれど、悲壮な終わりにならずアイシャとオリエのこれからの人生への希望、そして人の営みと植物や虫たちの関わりを良きものであり続けられることへの望み、そういった思いが心に残る最終巻で嬉しかった。
(勿論獣の奏者も、悲壮なまでのエリンの生き方とだからこそ後の世に受け継がれていくもの、という深く突き刺さる物語が胸に響いたのだが)




