
まにまに
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2025年9月2日

遠い山なみの光〔新版〕
カズオ・イシグロ,
小野寺健
読み終わった
かつて読んだ
気づきの場所が、
北か南かもわからぬまま
あてどなく進み続けていれば
交差する記憶が足元を照らしたり
時には重みになって
行き交う人たちと勾配を共にし
袂を分ったりして
それでも歩んでしまう足並みを
くさびとなる地点など知らぬまま
過去と呼べる日が来ることを
「生きる」というのなら、
このてのひらも
かつての傷も
盲いて、等しく撫でる、
残照のような存在でありたいと
狂おしく願った


