
あむ
@Petrichor
2025年9月2日

アリアドネの声
井上真偽
読み終わった
まるで映画をみているかのようなスピード感。
見た目の厚さに読了には時間がかかるかと思っていましたが、一気に読み終えてしまいました。
ショート動画に慣れてしまった人や、本から遠ざかっていた人におすすめの1冊。
以下ネタバレ含みます
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個人的な好みの影響で後味の悪い物語ばかり読んでいた私は読みながら中川博美、そしてその関係者の「嘘」が暴かれる展開を想像していた。
さながらその姿は作中に登場する暴露系YouTuber、そしてそれに群がるネットの民のようだったのだろう。
「こうであったら、面白いのにな」
そんな推測は時に集まり群れをなし、そして歪んだ「真実」になっていく。
韮沢粟緒が主人公にかけられた綺麗事のような言葉を「うざい」と感じたように、中川博美を疑う私には彼女の言葉は綺麗事に感じたし、素直にその通りだなとは受け止められなかった。
ただ、この結末を知った今、改めて彼女の言葉を聞いたとき、私は主人公のように、なにかこの先の人生を変えるきっかけとなる、ヒントを見出せるのかもしれない。
同じ言葉に嘲笑するも救われるも、それは受け取る自分次第である。
それがわかった今だからこそ、私はこの物語をもう一度読み返そうと思う。


