・8・
@miki294
2025年9月2日

文庫版 邪魅の雫
京極夏彦
読み終わった
再読。
の筈。なのだが。殆ど記憶がなかった。
実家の本棚に見当たらなかったから、初読時はおそらく図書館で借りて読んだのだろう。返却期限に追われてあわてて読んだのだろうか。
もしくは登場人物が多い分、情報が分散して広く薄く記憶されてしまったのかもしれない。
いずれにせよ、楽しんで読んだことは間違いない。再読でもそうなのだから。
しかし分厚い。
分厚いということは文量が多いということだ。
それは読書の楽しみが長く続くという点では喜ばしいけれど、こと推理小説においては、伏線や謎を含んだままの情報をクライマックスまで記憶に留めておかないと、謎解きを十全に楽しめない。
記憶力が圧倒的文量に負けないうちにと急いで読んだ。けして読み飛ばしたり、読み流したりしたわけではないけれど、読み始めてからは家にいる時間の殆どをこの厚い文庫本に触れて過ごした。
とはいえ。
事件の性質上、複数の視点から描かれるため章の切り替えが多く、前作と比べ各章が(クライマックスの章を除いて)短めなので、休憩も入れやすく、読みやすかった。
いったん栞を挟んで、次の章の頭は何が来るかしらん、と当たる筈もない予想をし乍ら茶を淹れる時間も楽しかった。
八月から、魍魎の匣、戻って姑獲鳥の夏、飛ばして陰摩羅鬼の瑕、邪魅の雫の順に再読してきた。
次は到頭未読の鵼の碑となる。
でも。
矢張り、飛ばしてきたものを再読した方がいいかもしれない。次に実家に帰ったら本棚を確認しよう。
それまでは一先ず、手首が疲れない厚さの、百器徒然袋シリーズを。