文庫版 邪魅の雫
18件の記録
時雨崎@rainstormbook992025年12月29日読み終わった心に残る一節世界のことを分かった気になり、自分が世界の中心にいる、あたかも創作物の主人公のような使命感を妄想することに対して丁寧に向き合った話なのだと思う。 まあ突き詰めてしまえば渦中の人物それぞれの視野の狭さが中二病乙という話ではあるんだが、その幼稚さを指摘しながらも別に否定しているわけではなくそれが人間だものな、それでも懸命に自分の個人の世界と社会とを擦り合わせて生きているんだからさ、という優しさを感じる。 「私の世界は、何も変わらない。何故変わらない。どうして壊れない。私は、天に誅されるべき、地に糾されるべき、どんな罪より重い、決して取り返しのつかぬ大罪を犯したのではないのか?」 自分の内側に閉じた狭い範囲では世界を揺るがすほどの大事件であることが、外の社会では取るに足らない卑小な存在であるギャップを認識出来ていない。私にとってあなたは私の世界の一要素に過ぎないが、あなたにとっては私こそあなたの世界の一要素に過ぎない。 それが分からない傲慢で愚かで幼稚な思考過程を生々しく書いてる。京極先生自身はそのへん達観してそうな印象があるんですけど、何故そんな真に迫った表現ができるのか… 最後まで読むと、途中で鞄に纏わる話をする関口くんはこれでも懸命に生きてるんだな…って感慨深くなる。 そんな話を幾重にも仕掛けをして、あらゆる視点を以て表現している。なので、事件を起こす個々人の話は収集がつかない。全員が全員、自分こそ事件の中心人物だと思っているので。 その幕引きをするのがいつもながらに京極堂、そして今回は意外なことに榎木津。 榎木津の「世界を社会や個人と強引に接続してしまう」、京極堂の「社会と世間の、世間と個人の関係を一旦反故にして、事件の起きている場そのものを解体してしまう」がラストに向けて重要な意味を帯びる、深みを感じるまとめかただった。 次巻はようやく最新刊の鵺だ!やっと積めるぞ〜〜

- ・8・@miki2942025年9月2日読み終わった再読。 の筈。なのだが。殆ど記憶がなかった。 実家の本棚に見当たらなかったから、初読時はおそらく図書館で借りて読んだのだろう。返却期限に追われてあわてて読んだのだろうか。 もしくは登場人物が多い分、情報が分散して広く薄く記憶されてしまったのかもしれない。 いずれにせよ、楽しんで読んだことは間違いない。再読でもそうなのだから。 しかし分厚い。 分厚いということは文量が多いということだ。 それは読書の楽しみが長く続くという点では喜ばしいけれど、こと推理小説においては、伏線や謎を含んだままの情報をクライマックスまで記憶に留めておかないと、謎解きを十全に楽しめない。 記憶力が圧倒的文量に負けないうちにと急いで読んだ。けして読み飛ばしたり、読み流したりしたわけではないけれど、読み始めてからは家にいる時間の殆どをこの厚い文庫本に触れて過ごした。 とはいえ。 事件の性質上、複数の視点から描かれるため章の切り替えが多く、前作と比べ各章が(クライマックスの章を除いて)短めなので、休憩も入れやすく、読みやすかった。 いったん栞を挟んで、次の章の頭は何が来るかしらん、と当たる筈もない予想をし乍ら茶を淹れる時間も楽しかった。 八月から、魍魎の匣、戻って姑獲鳥の夏、飛ばして陰摩羅鬼の瑕、邪魅の雫の順に再読してきた。 次は到頭未読の鵼の碑となる。 でも。 矢張り、飛ばしてきたものを再読した方がいいかもしれない。次に実家に帰ったら本棚を確認しよう。 それまでは一先ず、手首が疲れない厚さの、百器徒然袋シリーズを。
駄駄野@enmr3102023年8月15日読み終わった鵼が発売されると聞いて、一度読んだもののほとんど中身を忘れてしまった為再読。深刻な空気も自分自身が深刻になりすぎるのも嫌で、上滑りを続けるけど、そう簡単に割り切れない探偵助手の益田くんが愛おしい。
まお@mao_ssss2022年9月14日読み終わった一番時間かかった!そして終わってみればなんて、なんて……言葉を選ばずに言えば、なんてしょうもないことで…!!!でも「邪」は誰の心にもあるもので、もちろん私にも。ラストは泣きそうになった。これは私が女だからだろうな。あーあ、ほんと、しょうもな!面白かった!













