記憶の本棚 "文庫版 近畿地方のある場所に..." 2025年9月3日

文庫版 近畿地方のある場所について(1)
単行本を最初に読んでから、この文庫本を読みました。 だから単行本よりすんなりと内容が理解できた。(単行本は読み終わってもなお「どういうことだったの?」みたいな箇所があった) 文庫本では怪異のエピソードのあと、著者たちの考察が入って、よりわかりやすい構成になってた。 単行本にはあったのに削られたエピソードもあって、そのエピソードを知っているともっと怖さに深みがでるので、単行本も読んでいるとより面白いです。 逆に文庫本にはないが単行本に追加されたエピソードもあり、このエピソードがあるおかげで、怖さだけでなく、切なさや悲しみが一気に加わる。 ただの理不尽で無機質な霊の恐怖話ではなく、もともとは心通う人間であったが故の怖さと切なさを伝えようとしているのかな、と感じた。 最後のページの終わり方にも感服でした。そこに男の子を重ねみることができる、そう、まるでその子がそこに存在するかのように。 【結末を知ってなお、不気味で怖い印象の単行本。 恐怖に巻き込まれる感じ。】 【結末を知って、登場人物それぞれが抱える切なさを感じる文庫本。 切なさ、やるせなさに巻き込まれる感じ。】
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