
yomitaos
@chsy7188
2025年9月3日

ネット怪談の民俗学
廣田龍平
読み終わった
@ 自宅
世代的には、コトリバコやきさらぎ駅のようなネット怪談にたっぷり浸かっていてもおかしくない年齢だが、一切触れることのないままここまで生きてきた。2ちゃんねるやそれをまとめたブログの類を嫌悪していたため、意図的に避けていた節もある。
それでもこの本を手に取ったのは、逆行的オステンションという概念との関わりについて、民俗学的観点から専門家が解説している点に興味を惹かれたからだ。
逆行的オステンションとはフォークホラーの概念の一つで、もともと伝説や根拠がないものに対して、意図的に情報(写真、体験談、噂など)を発信し、あたかも古くから存在したかのように見せかけるプロセス。
伝統や慣習を背景にした因習ものが多かったネット黎明期から、異世界ものへと移り変わっている現代への流れを丁寧に解説されており、著者がネット怪談の見取り図をつくると述べていただけあって、これは学術的にも意義のある本だと思う。
ある種、こういった情報不確かな物事を物語化してしまって処理するのが人間というものなので、情報の受容史としても読み解けるのではないか。
