篠乃崎碧海 "バベル オックスフォード翻訳..." 2025年9月4日

バベル オックスフォード翻訳家革命秘史 下
現実世界と地続きのファンタジーを読むとき、作中で魔法の解ける瞬間にいつもそこはかとない寂しさを覚える。これは希望とハッピーばかりの夢物語ではない、今私達が日々向かい合い戦っている世界と何ら変わりはないのだと気付かされる瞬間が。 幼い頃はそれが特に嫌で、ハイ・ファンタジーばかり読んでいた時期もあったのだけれど、最近は逆に現実とリンクした作品の方が読みたくなる。この世界にはまだ私が知らないだけの魔法も悲惨極まりない現実も、同時に存在するのだと知ることができるから。その方が救いがあったりしないか? エピローグの前の最後数行がとても美しく哀しかった。ああいう一文が最後にあると、ああ読んできてよかったなと思える。好きな読後感でした。 上下巻通してロビン以上にグリフィンが気になって仕方がない。彼のスピンオフとかあったら是非読みたい。出ないでしょうけれど。ああいう憎みきれない哀しい奴、かなり好き。
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