ミオReads "「好き」を言語化する技術" 2025年9月5日

ミオReads
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@hanamio03
2025年9月5日
「好き」を言語化する技術
「頭の中の妄想をそのまま抽出できる機械があればいいのに~」という二次創作界隈では定期的に回る願望は、「まあ、実際可能になっても、そのまま抽出した妄想って面白くないんだよね」とまとめるまでが一連の流れになっている。少なくとも、わたしの近辺では血の通った常識となっている。その「頭の中の妄想」を【核】と呼び、核を包む「工夫」のことを【好きの言語化】と定義しているのが……この本の前提だ。これは絶望ではなく救いの話だ。工夫さえすれば面白くなるし、伝わりやすくなる。 伝えたい人に伝えたいことを伝える。シンプルにそれだけを追求してある本なので、技術的に目新しいことは特にない。あくまでも推しについての妄想を10万字越えの文章にするのが趣味です! みたいな推しの押し売りオタクにとっての目新しさなので「推しの魅力を伝えてみたいけどどうしたらいいのかな?」という方にはオススメだ。 それと、「自分」について最近まったく深掘りしていないな、という人。 こっちはわたしも当てはまるので、どちらかというと「好き」を言語化する技術より、そこに至る思考の方が有意義な本だった。ちょうど、思考を言語化するための筋力が落ちていると感じていた。ネガティブ・ケイパビリティ。なんでもすぐ検索したりおすすめ欄を流し見したりして「分かった」気になる悪い癖。早々の利益を求めてしまう悪癖。ここから抜け出したいと思っていたタイミングで読めてよかった。 頭の中の妄想をそのまま抽出したいとは思わないけれど、そもそもとして今、頭の中に抽出したい妄想を広げられてもいない。「推しの魅力を伝えることは自分の人生を愛するということ」という言葉にあらためて納得する。頭の中の筋力が衰え弛んでいる人生は退屈で怠惰で他者にも自分にも無関心で、良い悪い以前に、シンプルに愛せない。愛せないのはつまらない。わたしがわたしの人生を愛するには、自分の力で手で、自分の好きを言語化していくことが不可欠で、そうした方が人生楽しい方に転んでいくと思うので、楽しい方に広げていきたい。
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