
ヲキ
@honyomyo
2025年9月5日

ギリシャ語の時間
ハン・ガン,
斎藤真理子
読んでる
p.141
僕らが持っているいちばん弱く、やわらかく、寂しいもの、つまり僕らの生命をいつか物質の世界に返すとき、どんな代価も僕らには返ってこないだろうと。
いつかその瞬間が僕に訪れるとき、僕が携えてきたすべての経験を、記憶を、決して美しいものとして思い起こしはしないだろうと。
p.146
人間の体は悲しいものだということ。へこんだところ、やわらかいところ、傷つきやすいところでいっぱいな人間の体は。腕は。脇の下は。股は。誰かを抱きしめるために、抱きしめたいと思うように生まれついている。あの、体というものは。
