ギリシャ語の時間

76件の記録
- ヲキ@honyomyo2025年9月5日読んでるp.141 僕らが持っているいちばん弱く、やわらかく、寂しいもの、つまり僕らの生命をいつか物質の世界に返すとき、どんな代価も僕らには返ってこないだろうと。 いつかその瞬間が僕に訪れるとき、僕が携えてきたすべての経験を、記憶を、決して美しいものとして思い起こしはしないだろうと。 p.146 人間の体は悲しいものだということ。へこんだところ、やわらかいところ、傷つきやすいところでいっぱいな人間の体は。腕は。脇の下は。股は。誰かを抱きしめるために、抱きしめたいと思うように生まれついている。あの、体というものは。
- いあに@IANI832025年7月26日読み終わった借りてきた今まで読んだハン・ガンらしくないなあと思いながらのろのろと読み進めたのだが、途中からその空気が濃くなっていって最後に高まって弾けた。今まで読んだ彼女の話より前の話なのかな?失ってしまうこと、元に戻らないこと、それでも何かを見つけることをその希望を描いていたように思う。いい話だった。
- 高橋|往来堂書店@frog_goes_home2025年7月24日読み終わった読書会に向けたハン・ガン強化ウィークDay2、本作は済東鉄腸さんと本屋に行ったとき「ハン・ガンはこれが最高傑作!」とのお薦めをいただいていたのだった。言葉を失った女と、視力を失っていく男の話。言葉にすることは意味を付与することで、そこには避けようのない傲慢さがつきまとう。そして視力=光を失うことは、音=言葉でしか世界を捉えられなくなるということ。この対称性よ……期待を悠々と超えてくるすばらしい作品だった。『菜食主義者』よりも断片的で、より抽象的な世界が広がっていた。
- シロップ@sirop2025年6月15日買った読み終わったわかりあえなくても、そこにあるもの。ともにあるもの。個々の人間のあまりにも個々であること。混ざらないこと。混ざれないこと。存在してしまうこと。冷たい外気に触れたときのような痛み、眩しい光で何も見えない怖さ、暗闇の中でただ闇しか見えない悲しさ。それでも(たとえ見えなくても)そこにある光。 これはぜんぜん別の話だけど、わたしもいつか目が見えなくなるかもしれないので、胸が塞がるような思いにもなった。
- ロッタ@rotta_yomu2025年6月3日読み始めたほんの数ページでハン・ガンの世界。わたしはいつのまにか登場人物のとなりで佇んでいる。文章を読んでいるのに視覚で引きずり込まれた感覚。静かに圧倒的。