ギリシャ語の時間
86件の記録
イロハ@iroha_mellow2025年11月6日読み終わった視力を失う未来が決まっている男と、声を失ってしまった女が、もう使用されていない古典ギリシャ語の講座で、講師・生徒として出会う。 ふたりが本当の意味で交差するのは最後のところだけ。物語の終盤まで、ふたりはそれぞれに、生に対する苦しみや悲しみにもがいている。 ハンガンの静謐な表現がとても巧みで、読みながら何度となく瞼を閉じてその情景を思い浮かべながら読んだ。 声を失った女の沈黙について、 「肉体を失った影のような、枯れた木のがらんどうの内部のような、隕石と隕石の間の暗い空間のような、冷たくて稀薄な沈黙だった。」 と表現していたのが、特に印象的だった。
おるば@olva2025年10月30日読み終わった・初めて韓国の本読んだ ・「彼はあるとき自分を殺そうとしたことがある」という意味を一単語に圧縮できる中動態、すごい ・ボルヘスの引用「我々の間に剣があったね」はこの作中ではやっぱり言葉なんだろうなと思う。 ・分かり合えないけど抜き身の言葉があったね

ヲキ@honyomyo2025年9月5日読んでるp.141 僕らが持っているいちばん弱く、やわらかく、寂しいもの、つまり僕らの生命をいつか物質の世界に返すとき、どんな代価も僕らには返ってこないだろうと。 いつかその瞬間が僕に訪れるとき、僕が携えてきたすべての経験を、記憶を、決して美しいものとして思い起こしはしないだろうと。 p.146 人間の体は悲しいものだということ。へこんだところ、やわらかいところ、傷つきやすいところでいっぱいな人間の体は。腕は。脇の下は。股は。誰かを抱きしめるために、抱きしめたいと思うように生まれついている。あの、体というものは。
いあに@IANI832025年7月26日読み終わった借りてきた今まで読んだハン・ガンらしくないなあと思いながらのろのろと読み進めたのだが、途中からその空気が濃くなっていって最後に高まって弾けた。今まで読んだ彼女の話より前の話なのかな?失ってしまうこと、元に戻らないこと、それでも何かを見つけることをその希望を描いていたように思う。いい話だった。








高橋|青山ブックセンター本店@frog_goes_home2025年7月24日読み終わった読書会に向けたハン・ガン強化ウィークDay2、本作は済東鉄腸さんと本屋に行ったとき「ハン・ガンはこれが最高傑作!」とのお薦めをいただいていたのだった。言葉を失った女と、視力を失っていく男の話。言葉にすることは意味を付与することで、そこには避けようのない傲慢さがつきまとう。そして視力=光を失うことは、音=言葉でしか世界を捉えられなくなるということ。この対称性よ……期待を悠々と超えてくるすばらしい作品だった。『菜食主義者』よりも断片的で、より抽象的な世界が広がっていた。









シロップ@sirop2025年6月15日買った読み終わったわかりあえなくても、そこにあるもの。ともにあるもの。個々の人間のあまりにも個々であること。混ざらないこと。混ざれないこと。存在してしまうこと。冷たい外気に触れたときのような痛み、眩しい光で何も見えない怖さ、暗闇の中でただ闇しか見えない悲しさ。それでも(たとえ見えなくても)そこにある光。 これはぜんぜん別の話だけど、わたしもいつか目が見えなくなるかもしれないので、胸が塞がるような思いにもなった。

ロッタ@rotta_yomu2025年6月3日読み始めたほんの数ページでハン・ガンの世界。わたしはいつのまにか登場人物のとなりで佇んでいる。文章を読んでいるのに視覚で引きずり込まれた感覚。静かに圧倒的。






















































































