
おもち
@alpaco
2025年9月5日

いい子のあくび
高瀬隼子
読み終わった
借りてきた
“自分の中には心が本当に二つあるのだと思う。裏と表、という単純なものではなくて。悪くいう方が裏で、裏が本当というのは違うだろう、という確信。”
“心は、どうしてこんなにばらばらなんだろう。ばらばらで、全部が全部本当であるために、引き裂かれるというよりは、元々ばらばらなったものを集めてきて、心のかたちに並べたみたいだった。”
なんとなく持っているけれど、見ないふりをして流したり、心にとどまらないようにしているちょっと後ろ暗い感覚。そんな感覚をすっと表面にもちあげて描写するのがとてもうまいなぁと思う。安心したいのか、それとも自省したいのか、定期的に読みたくなるであろう作家さん。
短編集が3篇。表題作がやっぱり好き。自分の行動や態度から、心の奥底にある気持ちに気が付かれていたらと思うとぞっとします。たとえ字面や行動の表面に表れていなくも。



