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@bunkobonsuki
2025年9月6日

小説
野崎まど
社会や政治といった現実を論じる大説。
その対となるのは、空想という嘘を語り続ける小説である。「小説」は、まさに「嘘」の意味を提示する物語だ。
文化的資本に恵まれた内海と、文才に溢れた外崎、そして小説家の髭先生。このトリオで物語は進む。途中、髭先生が関わってきた人びとの挿話を経由して、宇宙が膨張するようにスケールは大きくなっていく。
「宇宙が膨張するように」と書いたけど、本当にそんな感じなのである。ながら読みしていると「今別の話をしてる?」と慌ててしまう。
また、この物語はフィクションである。
何を当たり前のことを、と言われるかもしれないが、本作は現実世界だけを舞台にしているのではない。ファンタジーも織り交ぜている。この点で賛否が分かれるだろうが、繰り返すように、この物語はフィクションである。




