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@teihakutou
2025年9月6日

働くということ 「能力主義」を超えて
勅使川原真衣
読み終わった
主張がはっきりしていて、でも問いが開かれて終わっていて、ラフな語り口も読みやすかった。磯野真穂さんの名前が出てきて、わたしがこの人のこと気になるのも納得だった。
p.103
いずれにせよ、万物は流転する中で、職場でいきいきといられるならば、それは誠に幸運なこと。無味乾燥に聞こえるかもしれませんが、それ以上でも以下でもありません。なぜなら、私たちのパフォーマンスを左右しているのは自分の能力だけによらないからです。言動の「癖」や「傾向」は個人個人で違いがあります。その「持ち味」同士が周りの人の味わいや、要求されている仕事内容とうまく噛み合ったときが「活躍」であり、「優秀」と称される状態なのではないでしょうか。
p.183
「優秀」な人を「選ぶ」のでも、「優秀」な営業に「育てる」のでもない。一元的な「正攻法を捨て、どんな人材にも拙速に良し悪しをつけることなく、他者と組み合わせながら適切な職務に相対させる。「選ぶ」のは他人のことではなく、自分自身の気持ちを俯瞰しながら、落ち着いて自己のモードこそを「選ぶ」のだ。それは、仕事がうまくいっていないとされる側にとっても同じことだ。「自分なんか営業に向かないな。もうやだな」と思うは易し、「ここまでならやれそうだ、これだけは本当にしんどい」など、今一度言話化して自己のモードを捉え、選択の余地を探ることに努めたい。無論、管理職側がそれに耳を傾けてあげることが大大大前提だが。
p.214
相手の口を塞がないこと──これが、意外に思う方もいるでしょうが、社会構成員を養成すると謳う者(=教育)が担うべき基本所作であると思うのです。企業で言えば、「心理的安全性」と呼ばれるものでしょうし、学校教育では昨今「安全基地」ということばで表現されていることに近いと思います。まずここにいていいんだな、と思わないで、何を学べましょうか。挑戦できましょうか。

