
socotsu
@shelf_soya
2025年9月8日

大阪
岸政彦,
柴崎友香
鞄に入れて移動中に少しずつ読んでいた。お二人の淡々とした、でも思い入れのある語りがとてもいい。
"この感覚、この気持ち。胸が痛くなり、頭のなかが静かになる、この気持ち。マップで東北の小さな港町を覗いたり、なにも特徴のない、これといって変わったものもない大阪のただのふつうの住宅地を、足を痛めるほど何時間も歩き続けるときに感じるこの気持ちは、他者に対してのみ持ちうるものである。
もし自分がほんとうに東北の港町や、ただ歩いて通り過ぎるだけの大阪の住宅地のどこかで生まれ育ったら、そこは自分にとっては、何も感じない、ただのふつうの、自分自身でしかないだろう。" p.225


