
まとまと
@matomato0624
2025年9月9日

自由に捕らわれる。
カンザキ・イオリ
心に残る一節
夏が終わろうとしている。
来年の夏も、彼は小説を発表するだろうか。
『自由に捕らわれる。』の中での、印象に残ったセリフをまとめます。
以下ネタバレです。
〇『でももしお母さんに勇気を出して、塾をやめたいと言えたら、僕がハンバーガーを奢ってあげる。塾をやめたらきっと毎日学校終わりに暇になるだろう?君が家に帰りたくないとき、ここに来れば、明日でも明後日でも、これから毎日でも、君が食べたい物を買ってあげるよ。持ち帰りたいぶんも買ってあげる。君の好きな物だけ買ってあげる。僕がずっと傍に居てあげるよ』
あなたは悪い人ですか?
『そうだよ。僕は悪い人だ』
〇『スーツを着ても、誰も何かに変身することはない。スーツを脱いだら、ただ丸裸になるだけだ』
〇「ウザいんだよ!お前ら!家族面すんなよな!干渉しようとしてくんなよ。ずっとウザいと思ってた。ずっと面倒臭いと思ってたよ。心配してるフリしてるだけだろ!ちゃんとやってれば、それでいい、だけだろ!学校行って、ちゃんと毎朝挨拶して、健康で、それで、それだったらいいんだろ!だから見せてやっただろ!ちゃんと学校行って!ちゃんと挨拶して!ちゃんと健康で!いただろ!もういいだろ、もう、もう許してくれよ!解放してくれよ!琥太郎さんへの気持ちまで、抑えつけようとしないでくれ!僕が僕でいられるのは、あの人を想っていられる瞬間だけだったのに、僕を、僕を、これ以上抑えつけないでくれ……」
〇「だから、姿夜くんが人殺しって思ってから、私はずっと待ってたの。きっと、君なら私を殺してくれるかと思って。君がいつか殺してくれるのを待ってた。でも違うなら、じゃあ、じゃあ、誰が私を殺してくれるの?」
「私は、これからどうすればいいの?」
だから僕は、美生心の手を摑んで、引っ張った。引っ張って、走った。
美生心が何かを言っている。その後ろで、警官二人組も何かを言った気がする。
それでも僕は走った。美生心を引っ張り、走った。走って、走って、走って、走って、走った。
「好きに生きればいいだろうが!」
〇「ー(中略)ーでもそれでいいよ。そのままでいいよ。そのままのすーちゃんで、何も悪いことなんてない。悪口を言いたくなったら吐き出せばいい。喧嘩をしたくなったらすればいい。そのたびに私が叱ってやるから。何度でも悪いことをして、何度でも私に怒られればいい。私に殴られればいい。綺麗な心じゃなくていい。私が全部受け止めてあげるから。なーんにも言わなくていい。家族は、無理に寄り添い合おうなんてしなくてもいいし、疲れたときに、気紛れで、あんたが帰りたくなる場所になればいい。だからね、私たちをいい加減、認めてちょうだい。私たちを許してちょうだい。私たちは完璧な家族じゃなかったかもしれない。それでも、家族として、私は皆のことを愛してるの。あんたのことも愛してる。あんたを今まで支えてくれた、その人のように。あんたに今まで寄り添ってくれた、その人のように。今度は私たちが、あんたを支えて、寄り添いたいだけなの。ねえ、すーちゃん。私たちはその人の代わりになることができないかしら。その人の代わりに、今度は私たちがあんたを支えて、寄り添って、愛してあげることはできないのかしら。」

