蛸足配線
@nekoai30
2025年9月8日

発光地帯
川上未映子
読み終わった
問題は「動けなくても動かないといけないとき」なのではなく「動けないけど動かないでいいとき」で、そうするともう、これまで一生懸命ごまかしごまかし積み上げてきた、おおげさに言えば生きることに必要なあらゆる理由がなくなってしまう、気がする、わたしたちがなんとなく、ここにいてもいいようなそんなゆるやかな言い訳めいたもろもろがさあっと霧散してしまう。沈めるうちは、大丈夫、沈むことのできる場所やものがあるうちは、それは賑やかでいいけれど、そういったものが総じてなくなるときも、あるので注意。(P152)
昼の暮らしでは決して口に出せない、無いものにされているかなしみの在りかを、せめて自分に向かってきちんと確かめるために、かろうじて毎日なにかを読んでいる。文字に向かっているときは息ができると感じる、でもそれはこなす仕事が常に目の前にあってこそなのかしら。本当はだれにも会わず戸を締めきってこんこんと眠りたい。主観的にはそう思っているのだけれど。