
田口為
@naseru_taguchi
2025年9月15日

休むヒント。
群像編集部
読み終わった
読書日記
「休む」をテーマにしたエッセイ集。最初の麻布競馬場さんのエッセイで笑ってしまった。この前読んだ「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の答えそのもの、全力コミットしている方だったからである。(何かに全力コミット=余暇がないので本が読めない)
「なぜ働いて〜」の本も全力コミットを否定してはいない。何かに全てを注ぐ時期はあるだろう、しかし全力コミットが人生全てになるのは違う、という話だった。
麻布競馬場さんは、全力コミットの時期にいる方なのだろう。プロフィールを見ると、まだ30代。若い。むしろ、若いうちに全力コミットしたいと思えるものに出会えて羨ましい人だ、とさえ思う。
初手から休むことが苦手、というエッセイから始まるけれど、読破して思うのは、若い人は「休み方がわからない」で、50代より上あたりになると「これが私の休み方だ」と自分の休むヒントどころか休み方の回答を持ってる人が多い、という傾向があるように思う。
エッセイの作者は業界も年代も様々で、それだけでも読んでいて楽しい。私は声優の斉藤壮馬さんの名前があったから購入したのだが、作家業以外の方だとぼる塾の酒寄さんというお笑いの方などもいて、幅広い。
旅行なり近所の散歩なり、場所を変えることを休みとする人は多い。知らない土地へ行くことにあまり興味がない、海外なんてむしろ疲れないか?という私だが、他の人の旅行の話を読むのは楽しい。作者は楽しくて旅行に行くのだから、文章からもその喜びが伝わってくるから、自分の好みに関わらず、「休む」エッセイを読むのは面白かった。
さて、休むヒントを得られたのか、というと「休みだと思えば休みだ」という感想なので、一応ヒントを得られたと言えるだろう。
この本を読むと、休みとは人それぞれ。休み方をまだ知らない、わからない人もいる。自分の休みは自分で自信を持てればそれが休みで良いのである。住めば都、と同じなのではないか。
まだ自分で「これが休みだ」と自信を持って言える「休み」はないと思うが、読んでなんとなく気が楽になった一冊である。