勝村巌 "作り方を作る" 2025年9月10日

勝村巌
@katsumura
2025年9月10日
作り方を作る
作り方を作る
佐藤雅彦
2025年6月28日から11月3日まで横浜美術館にで開催されていた佐藤雅彦展の公式図録。ピタゴラスイッチのピタゴラ装置とかアルゴリズム体操でお馴染みの佐藤雅彦展というだけあって、展示は大いに人が入っており、日時指定の予約がなければ入れなかった。 展示は電通時代のCMからゲーム、書籍、テレビ番組での映像表現がわかりやすくまとめられていた。 その大回顧展の側面、佐藤雅彦の自分史が時系列で記されているのが本書である。 展示と連動して章立てされているので、展示をしっかりみた後であれば、それぞれの政策の裏側にあるストーリーがわかるようになり、展覧会を多角的に見られるようになる、という優れもの。 ミュージアムショップでも「この図録を読むことでこの展覧会は完結する」みたいな挑発的なキャッチで宣伝されていた。 確かに視覚的な展示の裏側にある佐藤雅彦さんの心の動きが記されていて展覧会をしっかり補完していて、意味のある図録と思った。 展示を見た人はぜひ読んだほうが良いだろう。展示だけでは分からない発想の生まれた瞬間などがしっかり明文化されている。 発想の生まれた瞬間に「きてる」みたいな言葉を使うなど、マリックとかフジテレビ的なものを感じたが、直感に従うということを意識的にやっており、そういう選択を間違わなかった人なのだなと思う。 CMの本質は商品の本質を捉えること、みたいなことを言ってる割には、企業名と商品名とコピーを短時間に印象的に繰り返す方法論みたいなものを自慢げに語ったり、なかなかおおらかだなと思った。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved