
よしい
@Yoshe207
2025年9月11日

文庫版 死ねばいいのに
京極夏彦
読み終わった
これまた多分10年以上積読だった本。例によってどうしてそんなに長いこと読まずにいたんだと後悔するぐらいおもしろくてページを捲る手が止まらず、ゆっくり読み進めるつもりがあっという間に読了してしまった。世間一般的な上辺や建前の言葉を、秒でぶっ壊して噛み砕いてシンプルに再定義してしまうやけにさっぱりした語り口の男が、ある目的のために複数の人物と対話してある意味彼らの「憑き物落とし」をしていくような物語。なんだけど、シンプルな定義に置き換えられたことによってかえって人間にとっての善とか悪とか幸とか不幸とかってつまり一体何なのかわからなくなってくるような感覚にさせられる。言葉で相手の深層心理を浮き彫りにさせていくという手法は共通してても、京極堂や巷説とは明らかに違う読み味がして、味付けの違う同じメニューの食べ比べみたいな楽しさもあった。

