
りなっこ
@rinakko
2025年9月11日

結晶世界
ジェームズ・グレーアム・バラード,
J.G.バラード,
中村保男
読み終わった
再読。やはり好きだ。あらゆる生物、無生物が水晶化していく禍々しい幻想美の世界に魅入られた。
不穏で不安な冒頭から、ベックリンの『死者の島』のイメージが物語の先行きを暗示する。友人夫妻の身を案じて主人公が向かったのは、信じがたい変容を遂げつつある出入り禁止の地域だった。そこで森林はプリズムに煌めき、人さえも結晶に覆われていく。ここでの死は、宝石に封じ込められる不死性と隣り合う。
心のなかの“春分の暗い側”に陶然と傾いて、そのまま二度と元に戻りたくはない。グロテスクに病んだ硝子の森に魅かれてやまない。





