
サヤ
@sayaemon
2025年9月12日

私が語りはじめた彼は
三浦しをん
読み終わった
とある大学教授の男性によって揺さぶられる部下、家族、不倫相手達が、各々の愛の空虚さに惑い、それでも何かを守ろうと争う連作集。
平たく言ってしまうと不倫ものであり、おまけに主人公達は基本「不貞によって傷付く側」なので、じわりじわりと辛い読書だった…
ラストではほとんどの人々が自らの感情になんらかの折り合いをつけ、世間一般の『愛』とは違っても、せめて『繋がりあう』ことを望んでいく
その答えになぜ辿り着けたのか、すぐに納得できた話もあれば、よく分からなかった話もあった
この『よく分からない』というモヤモヤ感こそが、愛というものの複雑さそのもの…なのかもしれない
誰も彼もが、うっすらと不幸。そんな印象の小説だった



