
kei
@k3245
2025年9月11日

読み終わった
千葉雅也著「勉強の哲学 来たるべきバカのために」読了。
2025/9 6冊目
◎サマリ
①勉強するとは既存のノリから外れること
②ボケとツッコミ
③決断ではなく仮固定
◎書評
千葉先生の名著。
中身は難しいが分かりやすい例えにいい具合で脱線してくれて飽きずに最後まで読むことができた。
動物化するポストモダンの著者、東先生を尊敬している千葉先生ならでは東先生譲りと思われる鋭い視点と哲学初心者にも手を差し伸べてくれる優しさが共存したとても素敵な一冊。
①勉強するとは既存のノリから外れること
この本は勉強の哲学といいつつ、勉強はいいぞ〜とかもっと勉強しろとかの説教は一切ない。
千葉先生は勉強をする=既存のノリから外れることであり自己破壊的な行為であるとした。
あと既存のノリから外れはじめると周囲からキモく見られる。
この感覚の言語化とてもすごいと感じた。
物知りというか教養がある人って何か違う世界線を生きている気がしていた。
それは自分とはノリがまったく違うからだと改めて気づかされた。
この本では勉強を進めるとしたらこういうのがいいよというひとつの解も示されている。
まずは自分の欲望年表を作って自分自身を知り、自分に必要な勉強を見出すというのもとても面白かった。
実際に自分もやってみたが自分自身をうまく言語化できた気がして、この本の価値って何十万円にも値するのではないかと感じた。
②ボケとツッコミ
勉強をする=ノリから外れるために必要なことはボケとツッコミだと千葉先生は主張する。
ボケ=ユーモア、ツッコミ=アイロニーだ。
ボケは横展開、ツッコミは縦展開。
ボケはこういうのもいいけどこういう考え方もあるよねと当初の論を否定せずどんどん違った切り口を考えていくこと。
ツッコミはひとつの主張を疑い、これは実際こうなのでは、こうなっているのはなんで、とどんどん縦穴を掘っていく。
ボケにもツッコミにも弱点はあるので適度さが大切ではあるものの、この2人をベースに物事を見ていくというのはとても学びになった。
③決断ではなく仮固定
ツッコミを重ねていく人のクセとして、あるところまで行ったら、これで間違いないという「決断」を下してしまい他を受け入れなくなってしまう。
千葉先生はこの状態になってはいけないと主張する。
目指すべきは「仮固定」。今の自分の持つ主張して、これ!というのを語れるようになること。
ボケのほうも横展開していくと際限がないのだが、どこかのタイミングで「仮固定」。
「仮固定」に使えるのは自らの享楽的こだわりであるという考え方も面白かった。
この享楽的こだわりも欲望年表を書いてみることで見えてくるはずだ。
本当にいろんな視点を手に入れることができる名著。
千葉先生の他の作品も読んでみたいと思う。

