
なみんご
@namingo
2025年2月12日

PRIZE-プライズー
村山由佳
読み終わった
作家にとって原稿は子供。でも、限りなく子供に見えても、その実は同化した自分。親が子供(と己の両面を持つ化物)を守る話と思える。
子供を愛することは、世界の誰よりも味方で、来る敵を薙ぎ払う執念のように思えるけれど、子供はいつか一人で歩いていくので、味方を作ることも大切。けれど、矛盾するその行為を一人でできる人は少なくて、そのために冷静な伴走である編集者が命綱として必要。
そして、編集者は、作家への好意や作品への熱量だけで動いてはならず、株式会社の論理というドライな軸がブレーキとして役立つ。
追記:
考えてみたけど、作家が子供のように作品を大切に思えば、文学的名作が生まれるわけではないよな。子供を大切に育てたらプロ野球選手になるのではなく、信じて手放し、親にしかできないことをやり、才能を伸ばすためには外部を頼り、本人に切磋琢磨させるしかないというか。原稿は作者と同化してしまうし、磨くのも作者だから、魂を持ちながら作品を手放す、それが難しい。
短い群像劇的な構成も内容も中毒性ある…ゆえに後半ゾッとする…。
