
くん
@kun
2025年9月15日

BUTTER
柚木麻子
買った
読み終わった
実際にあった事件を翻案にした作品。
出版から時間が経っていたけれど、海外で様々な賞を取り、話題が再燃していたので読んでみた。
読んでみたら面白くて、読み終わるのがもったいなくてなかなか読み終えることができなかった。
フェミニストとマーガリンを嫌悪するカジマナこと梶井真奈子に翻弄される週刊誌記者の町田里佳。
次第にカジマナを友達のように感じ始める里佳と、見た目も中身も変化する彼女に周囲の人間も翻弄され、巻き込まれていく。
作品内では、登場する人物たちの外見が細かく表現される。
梶井に翻弄され変化していく過程すらも細かく正確に表現される。
それは、すべての中心にいる梶井真奈子の外見も。巨峰のようだと度々表現される目、しみのないもちもちと内側から輝く白い肌、ぷっくりとした濃いピンクのおちょぼ口、つやつやと光る髪。
「ちびくろ・さんぼ」の虎のように、梶井を中心に、事件に関わる人々はぐるぐると回転するように翻弄されていく。虎がバターになってしまうように、彼らの結末がどうなっていくのか最後まで気になって目が離せなかった。
里佳と里佳に関わる人たちの結末は、梶井が求めても手に入れられないものだったのかな、と感じた。
変化していく外見と、それに対して変化していく人々の態度なども、この作品を通して描かれているテーマでもあったのかもしれない。
もう一つの大きなテーマが食べ物。
バターを食べる時、落ちる感じがするという梶井真奈子。
「そう。ふわりと、舞い上がるのではなく、落ちる。エレベーターですっと一階下に落ちる感じ。舌先から身体が深く沈んでいくの」
バターたっぷりのこってりとした食べ物が梶井から紹介されていく。
梶井から教えられた食べ物を食べる里佳の美味しく味わう描写に、食欲が刺激されてしまった。
バター醤油ご飯、たらこパスタ、ウエストのバタークリームのクリスマスケーキ、ガーリックバターライス、塩バターラーメン…。
バター醤油ご飯と塩バターラーメンは我慢できずに食べてしまった。






