ぽぽ "苦しかったときの話をしようか" 2025年1月25日

ぽぽ
ぽぽ
@wakio
2025年1月25日
苦しかったときの話をしようか
本書は、著者が大学生の娘に向けて書き記した「働くことの本質」についてのメッセージだが、社会人である私にも強く響く内容だった。特にキャリア観について、自分の考えと重なる部分が多く、読んでいて納得感が高かった。著者の視座は私の考えよりもはるかに整理され、明確に言語化されており、指針としての力を持つ。 印象的だったのは、「人は自分のパースペクティブでしか考えられず、多くの場合狭い世界しか見ていない」という話だ。この考え方は、自分のキャリアを振り返る上で新しい視点を与えてくれた。また、この内容は妻へのキャリアアドバイスや息子の教育にも反映させたいと感じた。 本書の語り口は、大学生の娘に向けて書かれているため平易で非常に読みやすい。ただし、実際には大学生にはやや難しい部分もあるかもしれないと感じたが、読者の多くが社会人であることを想定すると、適切なバランスだと思う。著者は強いメッセージを掲げながらも、人間の弱さや迷いを科学的にサポートする姿勢を見せており、結果として読者を救済する内容になっている。 私自身、この本を読むタイミングは非常に良かった。ちょうど転職を決意した時期であり、居心地の良い現職を脱して新天地に向かうことが、戦略として正しいのだと自信を持つことができた。また、会社員としてのキャリアだけでなく、資本家としての人生という視点を学び、パースペクティブが広がった。資産形成のために、余剰資金を株式投資に回すという選択肢にも改めて意識を向けた。 本書は、学生や若手社会人、多忙でキャリアを考える余裕のない社会人に特に読んでほしい一冊だ。働くことに迷いや不安を抱える人に対して、自分の立場や選択を見直すきっかけを与えるだろう。そして、それが単なる理想論ではなく、著者自身が実体験から紡ぎ出したリアルな言葉で語られている点が、大きな説得力を持つ。 キャリアだけでなく、自分の働き方や生き方をもう一度考え直す材料として、本書は知的で実践的な助けになる一冊だった。
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