
tomo015123
@asayou
2025年9月15日

真実の10メートル手前
米澤穂信
読み終わった
「さよなら妖精」で頭はいいけど猪突猛進な主人公を尻目に全ての真実を把握しているかの様な超然とした態度を取りつつ、その実一番損な役割を引き受けていた大刀洗を主人公とした短編集。社会人となり記者となった彼女は取材を重ねながら同時に同時に自身の傷も重ねていくが、どこかそうとしか生きられないといった諦めに似た印象も受ける。基本的に根は善人なので痛々しいが、彼女の想像力というか洞察力は群を抜いており、そうとしか生きられないというかそう生きるのが一番自然にも見えてしまう。誰しもが気づいていない真実に1番に気づき、短編集では基本的に彼女の中で出ている結論の傍証を取材するという変わったスタイルになっている。お気に入りというか一番痛々しいのは高校生カップルの自殺を取材する短編。油断しているとガツンとやられる。


