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tomo015123
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@asayou
  • 2025年10月9日
    うたかたの娘
    人魚伝説を核にした短編集。人魚は美しく羨まれ永遠を生きる生命体。一見理想の生物だが自身の価値は見た目にしかないと認識し、人の世に生きながらも人との関わり合いを極端に恐れている。一方で人間は人間でルッキズムだなんだと言いながらも美しいものはやっぱり好んで、逆に美人は苦手だというのも見た目で人を判断している証左になり・・・。結局外見という一番外側にある情報で他人を判断してしまう、なんだか間抜けというか不思議な生き物だ。人魚に巻き込まれた人間はなかなか可哀想な目に遭うのだが物語全体が物悲しさというかどこか達観した雰囲気に包まれているので嫌悪感はない。
  • 2025年9月30日
    死体埋め部の悔恨と青春
    死体処理を請負う死体埋め部に無理やり入部させられた主人公が死体を埋める先輩の車の中でその奇妙な死体について推理する短編集。この先輩が非常に魅力的でモラルは完全にイカれてるけど面倒見が良く人当たりも良い。ユーモアもあり機知に富む。対した主人公も常識人としてのスタンスから冷静な推理を披露し車内での会話は普通のサークルの様。ただやっていることがやっていることなのでどう足掻いても幸せな結末には至れないよな、という悲しい崩壊の気配が常に付き纏っており不思議な読み味。
  • 2025年9月26日
    デスチェアの殺人 下
    デスチェアの殺人 下
    シリーズの中で一番衝撃的だった。事件も当然おぞましく、差別や排外が行き着く先を憂いている様に見える。事件が収束に向かいだしたと思いきや異次元の加速的展開。ノックアウトされた気分。
  • 2025年9月15日
    真実の10メートル手前
    「さよなら妖精」で頭はいいけど猪突猛進な主人公を尻目に全ての真実を把握しているかの様な超然とした態度を取りつつ、その実一番損な役割を引き受けていた大刀洗を主人公とした短編集。社会人となり記者となった彼女は取材を重ねながら同時に同時に自身の傷も重ねていくが、どこかそうとしか生きられないといった諦めに似た印象も受ける。基本的に根は善人なので痛々しいが、彼女の想像力というか洞察力は群を抜いており、そうとしか生きられないというかそう生きるのが一番自然にも見えてしまう。誰しもが気づいていない真実に1番に気づき、短編集では基本的に彼女の中で出ている結論の傍証を取材するという変わったスタイルになっている。お気に入りというか一番痛々しいのは高校生カップルの自殺を取材する短編。油断しているとガツンとやられる。
  • 2025年9月7日
    抹殺ゴスゴッズ
    抹殺ゴスゴッズ
    なんだかすごいものを読んだぞ。 悪魔を生んだ神ゴスゴッズ。その一員として令和に生まれた怪神コドクオ。主人公詩郎は街角で暴力団にリンチを受ける少女をさらに圧倒的な暴力で救助するコドクオを眼にする。その日から詩郎は圧倒的暴力、町で起こった謎の殺人に巻き込まれていく。 一方で詩郎の父は少年時代、平成に怪人蠱毒王を名乗る怪文書に端を発する殺人事件に巻き込まれる。 2つの事件が並行、交差し2つの時代に生まれた怪神と怪人、そして全てを飲み込む強大な力が空想と現実を飲み込んで行く。 ホラーかと思えばかなり正統派のミステリであり、まさかの青春物語でもある。特に登場人物は全員強烈で、詩郎にイカれた好意を振り撒く桜や罵倒を繰り返し「懺悔しなさい」と言い放つ無免許運転同級生のカナヨ、そして詩郎の趣味に理解を示し2人でゴスゴッズを作り上げだ親友木槍。長い小説ではあるがだれることなく結末までつき進むエネルギーが込められていた。
  • 2025年9月3日
    know
    know
    脳にコンピュータを埋め込み、また街を構成するほとんどの物質が情報を集め発信する機能を持つに至った未来で情報庁で働く主人公が門外不出最高クラスのコンピュータを積んだ少女と逃避行する話。あらゆる情報が公開されリアルタイムで取得できる世界で「知る」とはなんなのか、なぜ我々は知識を求め続けるのか、そして全てを知った時に何が起こるのか。哲学的な問いを常に全面に提示しながらも胸躍る情報戦や莫大な情報を背景にした「想像」などなどSFとしての面白さも犠牲にしていない傑作。
  • 2025年8月22日
    不等辺五角形
    不等辺五角形
    全てが会話で構成されており読みやすい。インターナショナルスクールで出会い社会人になっても付き合いが続いていた日本人グループで殺人が発生し、それぞれが弁護士にグループの人間模様を説明するといった内容。人によってそれぞれの見方が変わる!みたいなドロドロとした人間模様関係といった内容ではなく、割と些細なすれ違いや相互不理解はでてくるもののグループの仲は良好。それゆえ何故殺人が発生したかは検討もつかない、といった状況で最後にきちんとオチをつけてくれた。価値観のすれ違いとアップデートについて繰り返し述べられており、身につまされる様な話も多かった。おっと思ったのは「合理的」という言葉は男性に使うと褒め言葉だけど女性に使うと計算高いといった悪印象を含む、といった話。まったく気にしてなかったけど言われてみれば確かに・・・。事件に関しては流石に警察力舐めすぎだろって気はするがそこは本筋ではないのでまぁ
  • 2025年8月21日
    密室は御手の中
    密室は御手の中
    ミステリとしてもよくできているし主人公の心構えというか性格も好み。名探偵たらんとし異常な状況にも論理的に対処しようとしつつも徐々にキャパオーバーしそれでもまだ立ち上がる様に気骨を感じた。密室もタイトルにするだけあってよくできておりやられた!という感じだった。
  • 2025年8月7日
    孤島の来訪者
    孤島の来訪者
    面白い!孤島に集まるテレビクルー。いきなり発生する不可能犯罪から未知との遭遇、そして復讐心を燃やしながらも冴えた推理で真相を追求する探偵とロジカルな展開とどんでん返し。特殊設定の面白さと本格推理の面白さが両立されていた。
  • 2025年8月3日
    地図と拳 下
    下巻からは一転時の歩みが遅くなり満州を中心とした第二次世界大戦が描かれる。その中で様々な諦念や野望そして信念が交錯し数々の人生が描かれる。特にラストシーンの美しさは圧巻。
  • 2025年7月22日
    脳は世界をどう見ているのか
    脳は世界をどう見ているのか
    あーおもしろい!1章では脳の枠組みを座標系という概念から新たに捉え直す「1000の脳理論」について解説される。てっきりこの本のメインはこれだけかと思っていたが、2章ではAIの進化とこれからについて、3章では我々の未来と果たすべき役割について述べられる。特に遺伝子と知識を対比する3章は刺激的で、本能を司る爬虫類脳とそれを理性的な枠組みから観察する新皮質を遺伝子と知識の戦いという枠組みで説明し人類の至るべき未来を示す。 真実に近づくための唯一の方法は自分の信念と矛盾する証拠を積極的に探すこと、という考え方は常に胸に留めたい。
  • 2025年7月6日
    本と鍵の季節
    本と鍵の季節
    相変わらずビターな・・・。他の作品と同じく主人公達は大人びていて知識深く洞察力にも優れる。ただ人の悪意に対して敏感な一人と逆に人の善意を信じる一人が一緒にいるのだから、微妙なスタンスの違いや高校生ならではの行動や言葉の限界に縛られてでも時々は飛び越えて、相互にあいつはすごいやつだと思いながら、その期待通りの人物であってほしいと呪いながらでも生きていく以上は他人からの影響は受けるし互いに影響を与えるし誰かに影響を与えるしそれは自分の認識を超えたものなのかもしれないけどだからこそ守れるルールは守れるうちは守っておくという指針はかけがえのないものの様に思える。
  • 2025年6月29日
    そして誰もいなくなるのか
    死までのタイムリミットが設定された主人公たちの間で何故か殺人事件が発生する特殊設定ミステリ。主要人物は数人しかいないのに何故殺人が発生しているのかが最後の最後までわからないし犯人も全くわからなかった。シンプルな設定に動線もかなり丁寧で本当にすごい。メタミステリの一面もある中主人公の自虐がすごくてそこはちょっと笑ってしまった。
  • 2025年6月25日
    名探偵に薔薇を
    赤子の脳髄から作られる完全無欠の毒薬、小人地獄を中心に発生する不可解な事件に名探偵が挑む。事件は理屈がなかなか通らない事象に探偵の連想と発想で道筋を示して解決に繋げるという流れで、虚構推理でも感じていたがストーリーを紡ぐのが本当にうまい。事件そのものと合わせて、名探偵が背負う苦しみ、宿業に焦点が当てられ息ができない様な緊迫感で走り切る。
  • 2025年6月19日
    新しい法律ができた
    新しい法律ができた
    「新しい法律ができた」から始まる短編を寄せたアンソロジー。お気に入りは人工知能搭載のぬいぐるみを禁止する法律ができる「ルパちゃん」と「殺人罪」が新たに制定されることで逆説的に他者に悪意をぶつける世界が招かれる「もうディストピア」。「つるべを取られて」のNeo Twitter (旧X)という単語は笑った。新たな法がもうすぐ公布される「革命夜話」も面白かったけどこれは長編で読みたかったな。
  • 2025年6月18日
    三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 (講談社ノベルス)
    何の前情報もなしに読んだら全ページに伏線(伏線っていうのかこれ?)を仕込むという狂気のバカミスだった。肝心の謎解きよりも伏線(伏線って言っとけば許される思ってないか?)の方が凝っている始末。ウォーリーをさがせ文章化したらこんな感じじゃないのかな。
  • 2025年6月15日
    世界の終わりの最後の殺人
    世界の終わりの最後の殺人
    ガチガチの特殊設定、歴史ものときて3作目はディストピアよりのSFミステリ。世界におそらくただひとつ残されたバリアに囲まれた島。バリアの周りには霧に紛れ生物を食す無数の虫。そのバリアを貼った始祖が殺されたせいで霧と虫がどんどん迫り何とか犯人を突き止めないと人類が滅亡してしまうというシチュエーション。島民全員が殺人があった夜の記憶を消されており、殺人の動機になりそうなことを発見するたび自分を犯人と思い込む。何なら主人公ももしかして自分がやったか・・・?と思いながら推理している。島に残る2人の始祖もこれ自分やったんだろうな、と思いながら行動しているため、主人公にはまともな情報がなかなか集まらずまともに推理させてくれない。そんな中でも主人公足でどんどん情報を拾いいったい誰がどのような目的で殺人を犯したのか追求するのだが、主人公の妥協を許さない推理がとても魅了的。前2作と異なり2段組ではなくなったが、情報量の多さと設定の緻密さは相変わらずで確かな満足。
  • 2025年6月5日
    入居条件:隣に住んでる友人と必ず仲良くしてください
    隣に住む謎の怪異が「友だちの話」として怖い話をしてくるという変わったシチュエーションの短編集。主人公もだいぶイカれており状況に適応するばかりか他の怪異ともなんとなくご近所付き合いをしている。一つ一つの話も今まで聞いたことがない話ばかりで面白かった。
  • 2025年5月17日
    伯爵と三つの棺
    これはすごく面白い。フランス近くの小国を舞台とした手記。フランス革命直前とういう時代背景もあり科学や組織的な捜査がまだ存在しないような中で発生した殺人事件を地主である伯爵が推理するというもの。タイトル通り容疑者は伯爵に城を任されていた三つ子で伯爵自身も殺人現場を目撃しているのだがなんせ三つ子見分けがつかない。謎は二転三転し最後に殺人事件が発生したそもそもの背景と皆が隠し持っていた真実が明らかになる。貴族と民衆、フランス革命を背景に格差と命の価値といった哲学的なテーマにまで話は及ぶ。この小説何が良いって登場人物みんなに好感を持てる。開始数ページでもっと活躍を見たくなる多彩なキャラクターが次々と描かれ、期待を裏切らないまま結末へ向かう。個人的には権力者なのに偉ぶらない愉快な公爵と官能小説を書き上げたい子爵夫人がツボ
  • 2025年5月17日
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