
たぬき
@ponpokotnktnk
2025年9月16日

ゴールデンスランバー
伊坂幸太郎
読み終わった
彼氏に勧められて買ってから1年くらい寝かせていたけどようやく読了。
たくさんの登場人物やエピソードが、鮮やかに接続されていく様子に感動する。青柳の逃走劇は手に汗握る展開で、特にクライマックスの1秒を争う場面は実写向きだなと感じた(とっくに実写化されてま〜す)
「総理殺しのアリバイを作るために整形を施された別人」が物語中に存在しているが、最初読んだときにはディープフェイクを悪用して映像を捏造したのかと思った。2007年の小説なのに!「セキュリティポッド」を使用して市民の安全を謳いながら有事のプライバシー侵害を正当化しているというのも、今後あり得ない話ではないと感じる。
特にゾッとしたのがこの台詞。
『「思えば俺たちってさ、ぼうっとしている間に、法律を作られて、税金だとか医療の制度を変えられて、そのうちどこかと戦争よ、って流れになっていても反抗ができないようになっているじゃないですか。何か、そういう仕組みなんだよ。俺みたいな奴がぼうっとしてる間にさ、勝手にいろいろ進んでるんだ。前に読んだ本に載っていたけど、国家ってさ、国民の生活を守るための機関じゃないんだって。言われてみれば、そうだよね」』
2007年から、ずっと前から、政治というものはそうだったのだと言われればそれだけだが、世界がどんどん右傾化して戦争がどんどん他人事ではなく感じられるようになってしまった近年のことを表しているようで、恐ろしかった。才能のある小説家は未来予知ができる。




