勝村巌
@katsumura
2025年9月16日

介護未満の父に起きたこと(新潮新書)
ジェーン・スー
読み終わった
2021年に新潮社から出ていた文庫『生きるとか死ぬとか父親とか』の正式な続編。あの2人にまた会える、というやつだ。
後期高齢者となり、母親にも先立たれた独居の82歳の父親が、どのように人生を健やかにフェードアウトできるか、娘として真剣に向き合った5年間の記録。
ジェーンスーさんはTBSラジオのお昼の顔として、午後に帯番組を続けているラジオパーソナリティandエッセイスト。
ラジオ番組の名前は『相談は踊る』であり、日々、世間の人たちの悩みに向き合っている。そんなスーさんが愛憎入り混じる父親の老いに真剣に向き合い、実感を込めて描いており、さまざまな事実がトライアルandエラーとして赤裸々に描かれており、参考になる。
介護に悩む人たちに、それを楽しめとは言えないが、ビジネス書を参考に、生存戦略とし生活の様々な点、曰く、体重を増やすとか、ペットボトルを開けられないとか、掃除とか洗濯とか、そういうことをシステム化して、やれることとやれないことを種わけしていくスタイルは心と生活を上手く切り離す手法として有効と感じた。
スーさんは色々な選択肢がある中で、如何ともしがたく今のような生活を選んでいるわけだが、そこにたらればは存在しないが、中動態的に事実を認識して、そこで出来る限りやってみる、という態度をとっており、とても素晴らしいなと思う。
物事を考える時に主体、ステークホルダーは誰なのかを考えるのは常に大切だが、ビジネス書を参考にしているだけあって、そこをブレずに進めているため、これは大変な親孝行だと感じた。
自分にとっても人ごとではない状況なので、先人の知恵として読み込んでおきたい。
