
しおり
@Kaffee5888
2025年9月16日

八日目の蝉 (中公文庫)
角田光代
読み終わった
夏休み5冊目📕学生時代以来の再読
夏だから読んでおこうと思いつつ、この話が理解できるほどに大人になったのだと成長を感じつつ。
『なんで私が私だったのか。なんで「私」を引き受けることになってしまったのか』p315
何故、私という存在は私という場所にいる事になってしまったのか。運命、ともいう。避けられない、逃れられない、どうしようもない慣れるしかないもの。選んだものもあるだろう。だが、自分の努力では変えられない「私」という生き物になるしかないこともある。私じゃなくて誰々がよかった、と羨むことも往々として起こる感情だ。だからそれを押さえつけるのではなく、誰かとそうだね嫌だねなんて話して、それで明日も生きなきゃいけない。何を言っても「私」は「私」であることから逃げられないのだから。
昨日に続き、角田光代さん作品を読んでみたが、共通して過去を精算し切るのではなく、過去というものを受け止めつつ、誰かと手を取って、あるいは自分の足で未来へ向かおうとする力がある。話の題材は今回であれば誘拐であり、普通であればかなり鬱々としたものだろう。だが、この作品は二章に分かれており、その後があることでそれだけでは終わらないような構成になっている。
この作品の美しさは小豆島の美しさ、それだけではないだろう。母という存在の美しさ、母性、愛情、全てが優しくて脆い。誰にでも幸せになる権利がある。スタートラインはそれぞれ違うのだから、簡単では無いこともよくある。ただそれでも幸せを選びとって、這いつくばってでも一歩踏み出さなくてはならない。その力をくれるような作品だと思う。












しおり
@Kaffee5888
一旦時間をおいて考えて、SNSとかって「私」じゃなくなる時間が得られるから最近の人は使いたがるのかもしれない、と思ったり。自分の役割から逃げようとしているのかもしれない。逃げることは悪いことではないけれど、でも名前も存在も出鱈目で適当な作り上げた「私」は「私」ではないのだから依存せずに適度な距離感を保ちたいな、とか思ったりした。SNSの利用時間、減らさないとなぁ…
