ワット "ファンたちの市民社会" 2025年8月27日

ワット
@watt
2025年8月27日
ファンたちの市民社会
ファンとは、エンタテインメントを消費する人たちのこと。めちゃくちゃ資本主義だ。それなのに、ファン研究を市民社会と結びつけて論じようという発想に驚いた。特定の作品の解釈にオタク的に沈潜するのではなく、界隈を見渡すことで見える、ある種の眺望は気持ちいいものだ。極個人的な欲望を深めていけば、そこには自然と社会が立ち現れるという信念が著者にはあるのだろう。ガチ甲冑合戦の成立の記録は本当に興味深かった。  章末に挟まれるブックガイドが充実していて、これらの作品の議論をもとに本文を整理していったのだと思われる。そのブックガイドから気になった作品をいくつか。「贈与をめぐる冒険―新しい社会をつくるには」岩野卓司、ヘウレーカ。「表現の文化研究」鶴見俊輔・フォークソング運動・大阪万博」粟谷佳司、新曜社。「「地域市民演劇」の現在─芸術と社会の新しい結びつき」日比野啓ほか、森話社。「反日―東アジアにおける感情の政治」レオ・チンほか、人文書院。
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