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2025年9月17日
ザ・ドロップ
デニス・ルヘイン,
加賀山卓朗
かつて読んだ
また読みたい
とある作家のデビュー作を読み終わると、デニス・ルヘインの小説が読みたくなっていた。いちばん大好きな、罪を背負い孤独に沈んでいる男が犬を救うことから始まる物語を手に取る。
男の罪や孤独に、それぞれの“間違った”やり方で人生を解決しようと踠く人々の姿に、自分の人生を重ねていた。本の中でも現実でも、世界も人生も残酷だ。
それでも、それぞれがそれぞれの理由で“間違って”いくなかで、男に訪れたような、偶然で特別な、罪を忘れられる、人生を変える、あるいは取り戻そうと思える、幸せだと気づける瞬間は訪れる。そうも信じたい。信じている。そんな瞬間が訪れたとしても「この世はままならない」のかもしれないけれど。そこに犬が居れば。そんなことを思う。
読み終わった本をポケットに入れていた帰り道、SNSで流れてくる犬の皆さんの写真をスクロールして、この小説で救われるアメリカン・スタッフォードシャー・テリアにつけられた聖人の名前を、まだ見ぬ仔犬に呼びかけている人生を想像していた。いつもの道ですれ違う犬を少しだけ長く目で追っていた。「おれはあの犬を育てたいだけだ。」追い詰められたときに男に浮かぶ言葉を思い出す。ああ、わたしの隣にも犬がいればなあ。
読み終わったときの気分は決して明るくはならないし、この気分をどういう言葉で表せば良いのかも分からなかった。それでも世界、人生を残酷だけれど真摯に描いた小説は、ままならないけれど、やはり素晴らしいし大好きだと思えた。きっとまた何度も読むと思う。いつかのそのときには、隣に犬が居てくれれば最高なのだけれど。
「ボブは子犬を見つめた。どうしてこんなところに、とでも言いたそうな眼で子犬が見つめ返した。ボブは人差し指でその鼻に触れた。子犬は大きな眼をぱちくりさせた。一瞬、ボブは自分の罪を忘れた。」





