
しおり
@Kaffee5888
2025年9月17日

国宝 下 花道篇
吉田修一
読み終わった
あーーー良いもの読んだ。感嘆。
映画で物足りないと感じた読書家は絶対読んだほうがいい。全然印象が違う。
芸術とか何かに魅せられた人って、狂人の域に達することでようやく解放された、と感じるのかな。狂うほど愛せる、って凄いことだと思う。普通の人って、生活とかいろんなことを並行して、物事を「ある程度」に抑えて適度に楽しむくらいで満足するだろう。何をかなぐり捨ててでも、ある境地に達するためならなんでもする、くらいの狂気が無ければ至れない場所があるんだな、と感じた。そんなどうしようもないくらい歌舞伎しか出来ない人間でも、周りの人間が支えてくれたのはかなり恵まれた部分だろう、と思う。徳ちゃんのように何があっても味方になってくれる相棒、なんでも話せる親友のようなライバル俊ぼん、…いろんな人と出会って、いろんな人を裏切って。
きくおが最後に見たかった景色ってどんなに綺麗だったのだろう。見てみたいとも思うが、それをするにはあまりにも犠牲にすることが多すぎる。し、才能もない。悲しい事に。だから『国宝』を見て、読んで、断片を見れて良かったと思う。それで満足しちゃうのが私と言う人間なのだろう。それで満足できないのがきくおという「国宝」なのだろう。あっぱれ。









