
あむ
@Petrichor
2025年9月18日

じっと手を見る
窪美澄
読み終わった
夢もドラマもない、ただただ、現実。
それでも私はこの物語をつまらないとは思わなかったし、他者との境界線に悩む私が今、読むべき作品だったと思う。
以下ネタバレ含みます
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苦しいとき、どうして人は他人をあてにするのだろう。
どうして他人が自分を苦しみから逃がしてくれると思うのだろう。
人間に傷つけられて心を閉ざしても、人間はまた人間を求める。
永遠にも感じられるような愛のあっけない終わりと、それが引き起こす執着、そしてそれに囚われる人間の現実を、1冊を通じてただただわからせられるような、そんな読書体験だった。
私はこの物語を読んでそんな人間生活に絶望し、そしてまた、人間を頼らずにはいられないのだろうと思った。
たった1人で乗り越えて、たった1人で生涯を全うできる強さがあればどれだけいいかと思う。
そんな生涯を送れたとき、私はもっと他者と関わればよかったと後悔するのだろうか。
それもまた、わからなかった。

